第3回コンクール 審査結果発表

第3回コンクール審査結果を、以下の通り発表致します。

応募総数40作品

第1位

該当作品なし

第2位

友達と咲かせよう笑顔の花
松本 宏子(神奈川県在住、白梅学園大学非常勤講師、37歳)
五つのあたらしいわらべうた
蔵田 雅子(東京都在住、音楽家、54歳)

(敬称略/順不同)

上の結果により、第2位の松本 宏子氏、蔵田 雅子氏のそれぞれに賞金15万円および、記念品を贈呈する。

なお、第3次最終審査に残った7作品のうち、全審査委員から一定の評価を得た2作品を、入選として記念品を贈呈、他の3作品を佳作として、曲名と作曲者氏名を以下に公表し、その健闘を賞賛する。

入選

わらべうた幻想群山本 学
歌の花束「新しいわらべうた」田島 眞理(※)

(敬称略/順不同)

(※)付記
田島 眞理氏はペンネームが「Mary」ですが、ご本名でのお申込みでしたので、お申込みいただいた内容の通りにて掲載しております。

佳作

五つのわらべうた平木 悟
七つの創作わらべうた和田 仁美
こころのうた ~みんなの想い、羽ばたかせて~千葉 健

(敬称略/順不同)

総評

第3回を迎えた今回のコンクールのテーマは「新しいわらべうた」の創作であった。

「新しい歌」であるためには「新しい詩(歌詞)」が必要であり、谷川俊太郎の創作わらべうた集<わらべうた>(正続2巻・集英社1981年刊)は、まるで私たちの必要に応えるためであるかのように目前にあった。この2冊の詩集それ自体が、「新しいわらべうた」創造への呼びかけであり、そのためのテクストの積極的な提示でもあったのである。

私たちはさっそく谷川氏にこの詩集(正巻)に編まれている三十六篇の詩をコンクールのテクストとし、応募者はその中から任意の3篇以上を撰んで作曲し応募することができるよう協力を求めた。

さいわい同氏の快諾を得てこの第3回コンクールが開催されたのであった。

事務局3名及び、監査1名の立ち会いのもとに常任の3委員に加え、今回、特別審査委員として日本歌曲演奏経験の豊富な声楽家、少年少女合唱のヴェテラン指揮者、さらに現代日本歌曲演奏に造詣の深いピアニストを加えた合計6名がこれら応募曲の審査にあたった。応募の範囲は青森から大分にまで及び、作曲者は21歳から65歳と幅広かった。

応募情況は第1回「子どものためのピアノ曲」には一歩を譲ったが全40曲を数えて盛況であり、各審査員に良心的かつ精力的で粘り強い審査を求めるものであった。審査の情況と結果については、下記の事務局報告を参照されたい。

前二回に比して今回のコンクールの最大の特徴点が声楽曲であるということにあったのは当然であり、音楽と言葉との関連をいかに評価するかという問題意識を持つことが創作の前提条件として用意されなければならなかったのであるが、この点ではきわめて用意周到な作曲者と、ごく素朴な読者とが混在していたということができよう。このことはテクストとされた谷川詩の百戦錬磨の自在な表現をどこまで読み込むことができたかということに決定的に影響し、テクストの持つ歌詞としての可能性を左右した。

しかしまた、きわめて素朴かつ率直な発想に基づいて作曲されたフレーズが、別の作曲者による十分に計算された音型(フィギュア)とそっくり同じであったというような偶然性は今回の応募作品にも見られ(作例「おならうた」)、一瞬の創造的なひらめきがはるかな地平を超えて真の芸術的宇宙への扉を叩くことがあり得るという音楽的創作の芸術的特殊性を強く示唆している。もちろんそれだけで偉大な芸術的達成が完遂されることなどあり得るわけは無く、まさにその地点から血のにじむような創造的努力がスタートするのであるが。

こうした矛盾をはらみながらも、審査は結論を得なくてはならず、審査員の粘り強い討論はかなり難航しつつも、その努力の中からいくつかの同意点を見いだしていくことに成功した。

そしてついにそれらの中に、
 1. 「新しいわらべうた」創作という目標
 2. 谷川詩の歌唱化という「ことばあそび」としての形象化
 3. 現代日本歌曲の一部分として推奨可能な「生きているわらべうた」
の実現に資するに足る作品集の選択を実現した。

残念ながら1位作品として他を圧倒するものをえらぶことはできなかったが、同得点の2作品集を選択することで全審査員の一致を得たので、ここにその結果を公表する。

2013年7月20日
第3回小田原賞作曲コンクール審査委員会

審査の実施と経過

第1次審査

全40作品の応募のうち、失格作品1作品を除き、39作品の無記名の楽譜を制作し、6名の審査委員に送付し、第2次審査対象作品に16作品を選定。

第2次審査

第1次審査通過作品から、3名以上の審査委員により支持された以下の7作品を、最終審査の対象作品として選定。

友達と咲かせよう笑顔の花松本 宏子
五つのあたらしいわらべうた蔵田 雅子
わらべうた幻想群山本 学
歌の花束「新しいわらべうた」田島 眞理
五つのわらべうた平木 悟
七つの創作わらべうた和田 仁美
こころのうた ~みんなの想い、羽ばたかせて~千葉 健

(敬称略/順不同)

最終審査(本選会)

全6名の審査委員と、演奏者2名、会計監査および事務局員合計13名の参加のもと、上記7作品に対して演奏、厳正なる最終審査を行い、投票の結果、最終結果を得た。

なお、全審査委員に第1次審査通過作品から敗者復活を推薦する作品を募ったが、それは得られなかった。

本選会には、第3回コンクール特別審査委員の伊藤和子先生のお弟子さんである近野 桂介(テノール、東京芸術大学声楽科卒業)、久保 法之(カウンターテナー、同大学大学院在学)の両氏に依頼して、本選会の場で対象7作品を演奏し、審査資料として活用することができた。

本選会当日の1日を費やして貴重な実演を行ってくれた両氏の積極的な協力に、心からの感謝の意を表したい。

付記

なお、第3回コンクールの募集要項および審査委員については、以下をご確認ください。

※すべて敬称略にて失礼致しました。

2013年7月20日
小田原賞作曲コンクール事務局